若手医師の獲得戦略 その1 「部下への献身」について
若い医師はよく働く。
患者さんを診て医学(医療)を勉強したい、という意欲が強い。
したがって若い医師が多い病院や科は、働き手が充足しており、収益性も高い。
では、どうすれば、
若い医師を多く集めることができるのだろうか?
そこに何らかの「方法論」は存在するのか?
以下に、私なりの考えを述べる。
若い医師は、
患者さんを診て医学(医療)を勉強したいという意欲が強い。
しかし、患者さんを診ることは、「喜び」である一方で、
人さまの身体を扱うので、それは「責任」であり「リスク」でもある。
それでも若い医師が、果敢にも臨床現場に挑むのは、
ひとえに「役に立ちたい」からである。
早く役に立てるようになりたい、からである。
「献身」は、
自分に不利益が生じるかもしれない状況でも、
相手のことを思って行動すること、である。
若い医師の「情熱」は、まさに「献身」という言葉が当てはまる。
さて、
上司としては、誰もが、
部下が活躍し成長できるような環境を作りたい、と思うかもしれないが、
これが、難しい。
なぜ難しいのか。
それは、
部下の情熱(=献身)を守るためには、
上司がそれ以上に、部下に「献身」する必要があるからだと思う。
内科、外科、救急科、、、それぞれ、研修の内容は違う。
しかし、共通して言えることは、
若い医師は、上司の「コマ」ではなく、病院や科の「コマ」でもない。
若い医師の成長のために、上司がいる。
明確にしておくべきことは、
病院は、職員の成長のために存在する。
決して、職員が病院のために存在するわけではない。
ということであろう。
この考え方を貫けば、若手は集まり、結果、病院の利益も増えると思う。
しかし、
上司も人間である。好き嫌いがある。
また、上司自身の「自尊の念」が大いに邪魔をする。
人と人との関係である。
必ず、「わかりあえない」ことがある。
いや、「頻繁」に、わかりあえない。
しかも、我々は、分かり合えない際、常に、相手のせいにする。
しかし、それでは、
素晴らしい戦友になれる人物を、容易に、失ってしまう。
つまり、自分の考えを「わからせる」のではなく、
相手の考えを理解する努力、わかろうとする努力が、上司に求められる。
もちろん、
上司は、うまれつきの「神様」や「人格者」ではない。
だからこそ、
職場では、「プロの管理職」を徹底的に「演じる」他ないと思う。
無い器(うつわ)を、まるで「有る」ように演じるべきだと思う。
若手医師を多く集める方法論があるなら、
私としては、
上司が徹底して「プロの管理職」を演じることだと思っている。
いったん、
「わかってもらいたい」気持ちをやめて、
「わかってあげたい」気持ちを持つことである。
その結果、
部下たちの「精神的安全性」が保たれたなら、
若い医師がたくさん集まり、病院としての社会貢献度が高まるだろう。
また、プロを演じることは、上司が真に成長するチャンスとなるだろう。
この考えを、「育成」をミッションとする病院経営の「根幹」を成すものとして、提案したいと思う。
以上、
次回 若手医師の獲得 その2「他医への献身」について に続く。